スープのよろずや「花」

スープのよろずや「花」通信 はじめに(2)

戦争のない世界へ

 憲法を変えて軍隊を持ち必要な時に戦争ができる国になりたいと思っている人たち、憲法を変えて自衛隊を違憲ではなくきちんと位置づけ平和のためには派兵できる国にしようと思っている人たち、9条の理想は大事にしたいけれども日本が他国から攻撃されたらこのままではどうするのと不安に思う人たち、9条を含め憲法改正は絶対してはならないと考える人たち、改憲派にも護憲派にも様々な立場の人がいます。そして、改憲を考える人たちの多くが、自衛隊をきちんと位置づけ、平和維持のための改憲が必要であると言い、私自身は、戦争放棄を支えるためには、本当のところはどうしたらいいか解らなくなりそうでした。これまでの戦争の歴史を振り返るとき、私は努力しても、この地球上に戦争のない世界を実現させることは難しいのだという思いになります。その歴史上で、戦後60数年近く日本の社会が戦場にならなかったことは、大変貴重なことなのだと知りました。だからこそ、この日本社会がこれからも大きく変わることなく、60年が70年に、70年が80年にと続いていくためにはどうしたらいいか、現時点で一番いい方法を考える必要があるのだと思います。

 『戦後六〇数年、日本は戦争当事国となったことは一度もありません、戦後六〇数年以上の間、日本国民は自国の引き起こした戦争によって一人の命も失いませんでした。確かに、九条の実現には極めて不十分でした。日本政府は、自衛隊を海外に送りはしませんでしたが、日本全土の基地を米軍の侵略戦争のためにフル稼働させ、ベトナム侵略戦争に経済的に加担したことは否定できません。にもかかわらず日本が戦争に加わらなかったことはアジアの戦争をいっそう拡大するのを防いだという意義はあります。憲法を維持した結果、戦争を知らない国民が七割五分に近づいています。自衛隊はれっきとした軍隊ですが、創立以来五〇数年、一人の人間も殺していません。これは自衛隊が望んでつくった結果ではなく、九条という憲法と市民の運動に規制されてつくられた結果です。』

「憲法9条と25条・その力と可能性」 渡辺治著 かもがわ出版より抜粋

 渡辺治さんの本を読み、私自身の考えは、かなり整理されました。今、この問題に、私たち一人一人が、ある方向性をだすことを求められています。この通信が少しでも役に立つものになることを願っています。

           2013年5月 スープのよろずや「花」代表 伊藤真美

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