No.2 患者学のすすめ

…………….. 静かな夜に耳を澄ませば様々な虫の声、秋桜が咲き、ススキの穂がゆれる季節となりました。とても暑かった夏の疲れが気がつかないうちにでてきて、秋の気配のちょっぴりさびしくもある気分とあいまって、元気がでない人が多いかもしれません。十分な睡眠と栄養と休息をとって態勢をたてなおし、心と体の健康づくりの秋が充実しますように。 ……………..


■患者学のすすめ
~よりよき医療をうけるために~

-知ってほしい”かぜ”のこと-

 「かぜをひいたようです。」と言って、春、夏、秋、冬を通して患者さんが来院します。もちろんとてもはやっている時期はありますが、その時期以外でも、年間絶えることがありません。のどが痛いに始まって、鼻水とくしゃみ、咳が続いている、頭が重い、だるい、お腹の調子が悪いなど、症状は様々なのに、たいていの人がかぜをひいたと自分で診断がついてしまうようです。他の病気と違ってひとは一生のうちに何十回、あるいは一年に一回ぐらいは経験しているからでしょう。ところが、かぜという病気は、意外に、正確に知られていないことが多くて、人が病気にどう対処したらいいかを考える上で興味深いものです。

 医学的には、かぜのことは“かぜ症候群”といい、病原、種類はいろいろで、単一の疾患ではありません。
 《病原》 80~90%はさまざまなウイルスの感染によっておこります。たとえば、ライノウイルス(春、秋に多い)、アデノウイルス(春、夏)、コクサッキーウイルス、エコーウイルス(夏、秋)、インフルエンザウイルス(秋、冬)、その他RSウイルスなど。マイコプラズマ、クラミジアでもおこる。次のような《かぜの種類》があります。

(1) 普通感冒
いわゆる鼻かぜ。くしゃみ、鼻閉、鼻汁、咽頭異常感、咳、微熱も伴う。一週間ぐらいで軽快する。主要病原は、ライノウイルス、コロナウイルス。
(2) 非細菌性咽頭炎
咽頭痛が強く、咽頭の発赤、腫れ、発熱、咳がみられる。主要病原はアデノウイルス、コクサッキーウイルス。
(3) 咽頭結膜炎
咽頭炎、結膜炎、高熱を三大主徴候とする。夏にプールを介して流行することが多い。主要病原はアデノウイルス。
(4) インフルエンザ
潜伏期間は1~2日と短く、39℃前後の高熱で発症し、頭痛、筋肉痛、関節痛、全身倦怠感がみられる。やや遅れて、咽頭痛、咳、痰などの症状が出現する。
大流行することがあり、病原は、香港型、ソ連型、B型の3種類のインフルエンザウイルスが知られている。
(5) 急性気管支炎
咳を伴う痰と、発熱で発症する。咽頭痛は軽微で喘鳴、呼吸困難を呈することもある。主要病原は、アデノウイルス、インフルエンザウイルス、マイコプラズマなど。

 では《治療》には何がいいのでしょうか。原因療法として病原であるウイルスを直接やっつければいいのですが、残念ながら、そうした抗ウイルス薬は開発されていません。ですから対症療法と言って、それぞれの症状に対して効果がある薬、つまり、発熱には解熱剤、痛みには鎮痛剤、鼻汁には抗ヒスタミン剤、咳には鎮咳薬などで症状をおさえて体力を温存し、あとはその人にそなわった自然治癒力で病原体を体から追い出そうというわけです。

 さて、このように、いわゆる“かぜ”もなんだかいろいろ難しくて、とても厄介な気がしてきませんか。だから、「かぜをひいたのですが、今仕事が忙しく休めないので、強い薬でいいですからすぐに治る薬をください。」とか、「あさってから旅行に行くので、それまでに治りますか。」、あげくは「注射で一発で治してください。」なんて言われると、気持ちは解らないではないけれど、「やれやれ。」と言いたくなってしまうのも解っていただけるでしょうか。

 熱、だるさ、筋肉痛は、体を酷使せず休息をとりなさいというサインでもあります。気道、咽頭の異物を排除しようとしておこる咳をすっかり止めてしまっては、かえって病原体の繁殖を促すことにもなります。薬で症状を抑え込んで無理をして働いてしまっては、病状をこじらせることもあるのです。それならば休息と栄養を充分とって自然治癒力を高め て、薬は飲まず、医者にはかからず治してしまおうというのも正解で、大いに応援したいと思います。
かと言って、細菌性の二次感染を起こしたり、さらには肺炎、髄膜炎、脳炎、心筋炎を併発するものまであったりするので、自身の体力を過信せず、症状がつらく、また長引くようでしたら、来院してください。まわりの手助けをうけながら、どううまく自分の力を引きだしたらいいのか、かぜへの対処法に人それぞれの哲学が反映される気がします。

-検査値のみかた-

第2回 白血球、赤血球、血小板

白血球数 3500~9300mm3
赤血球数 M430~570万/mm3
F380~510万/mm3
血小板数 12~35万/mm3

血液の中には大きく分けて3種類の細胞があります。

(1) 白血球 : 病原とたたかい、体の免疫力と関係します。ですから、病原とたたかっているときは反応性に数が増え(10000以上)、また極端に減ってしまうと(2000以下) 病気とたたかえず抵抗力が無くなってしまいます。
(2) 赤血球 : 体の隅々まで酸素を運びます。少ないときは(300万以下)酸素がうまくまわらず、疲れやすく、くらくらしたり息切れがしたりもします。
(3) 血小板 : 血液を固まらせて止血を行ないます。少ないと(5万以下)出血しやすくなります。

 表のように正常値にはかなり幅があります。明らかな症状が出るときの数値の目安を( )内に示しました。症状が出るほどではないけれど正常値から少しはずれている場合は、いろいろな他の要素も考えなくてはなりません。
 数だけでなく、細胞の形の異常がでる病気もありますが、今回は比較的よくみる症状だけとりあげました。


☆★ ナースより ★☆

~薬をお渡しする際~
種類をおおく飲んでいる方には、一回に服用する薬を一袋に分包してお渡しすることがあります。
良い点はたくさんの薬を間違いなく飲めること、反対に悪い点は何の薬か分りづらいことです。
分包するか、薬ごとのシートのままがよいか、どちらでもご希望を看護婦までお申し出下さい。


《新しいドクターのご紹介》

国立がんセンター東病院の呼吸器内科 田中桂子先生に月に一度、当院を手伝っていただくことになりました。
9月は21(土)、22(日)
10月は19(土)、20(日)
11月は16(土)、17(日)
の予定です。

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