スープのよろずや「花」

スープのよろずや「花」通信 はじめに(1)

原子力発電 のない国へ

 こんなことが私たちの社会に起こるとは思いもかけないことだった2011年の大震災は、「自然の脅威」とともに、自然とは真っ向から異なる、人類がつくりあげてきた「システムの脅威」をも突きつけました。

 日頃私たちが当たり前のこととして享受してきた電気が、火力や水力発電の他に、日本に54機もある原子力発電によってつくられていたということを、私は恥ずかしながら知りませんでした。一つの原子力発電所の破壊が取り返しのつかない健康被害を人々と地球にもたらすこと。そして、原子力発電によって作り出される核廃棄物が、処理方法がないまま地球上に積み上げられていることも、初めて知りました。

 災害や事故がなくとも、処理できない核廃棄物が、今後どれだけ人々と地球の健康に被害をもたらすことでしょうか。どうしてこれが「原子力の平和利用」と言えるのでしょうか。

 ある医療技術をその人に取り入れるのかどうかを、技術の進歩がもたらすプラスの部分とマイナスの部分を様々な角度からはかりにかけて決めていく、ということを日常的に行っていくのが医療の現場です。そうした視点で仕事をしている医療職として、「原子力発電のプラスの部分は何か?」と冷静にとらえようとしても、私にはなんら納得できるプラスの要因を見つけることはできません。

 制御できない核分裂から得られる電気など、なくても人は生きていける。制御できない核分裂で地球の命は奪われる。こんな明らかなことをそうでないと言い、原子力発電推進の必要性を語る人々によって導かれる経済優先の社会ではなく、つつましくとも豊かな社会について考える糸口となる通信にしていきたいと考えています。

2013年5月 スープのよろずや「花」代表 伊藤真美

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