1999.8.31

 今年は千倉の海に似合う夏らしい日々が続いています。
 5月の病棟開設以来約3カ月、試行錯誤の日々が過ぎ、この夏の日ざしのなかで、ようやく少し、あたりを振り返る時間をもてるようになりました。
 病棟開設にあたり、多くの方のご協力、また当クリニックによせる様々な方々からメッセージをいただき、大変ありがとうございました。ここにあらためてお礼申しあげます。

現代の医学では残念ながら完全に治せない病気で余命の限られた方に、できるだけ症状を和らげて過ごしていただくための場所としての「緩和ケア」と、在宅で療養中の患者さんの状態が変化し症状コントロールが必要になった場合、また在宅で介護をしている方が休養を必要とする時や、外出などで患者さんをみることが一時的にできない場合などに、一週間程度の短期入院として利用していただく「ショートステイ」を、同じ病棟施設のなかで行なってまいりました。「緩和ケア」と「ショートステイ」、一見質の違うケアのように思いがちですが、実際始めてみて、医療・看護の基本になんら違いはないことを感じています。
 「緩和ケア」は48才から82才、「ショートステイ」は17才から94才までの方々にご利用いただきました。幅広い年齢層の方々に接するにあたっても医療・看護の基本に大きな違いはないことを感じています。また経験してくださった多くの方々が再利用もしてくださり、継続ケアの大事さを考えるとともに、「緩和ケア」の医療がそうした継続ケアの積み重ねの中にあり、いままでの医療と一線を画した特殊な分野でもないことを再確認しています。
 そして、「緩和ケア」を目的とする人にとっても、「ショートステイ」を利用する人にとっても、大きな共通点は、当クリニックが闘病の場所ではなく、自宅に代わっての医療の支えのある生活の場所でなくてはならない、ということではないかと思います。

 8月より医療法人として新たな出発をすることとなりました。
 ハード、ソフト面ともにまだまだ多くの整備不足があります。生活の場をつくる視点を忘れずに、今後の課題をあらためて確認し、一歩ずつ取り組んでまいりたいと思います。
  今後ともどうぞよろしくご指導お願い致します。


《ドクターのご紹介》
的場和子医師 (昭和大学病院緩和ケアチーム)
田中桂子医師 (国立がんセンター東病院呼吸器内科)
岩田広香医師 (国立がんセンター東病院緩和ケア)

月に一度ずつ土・日の診療を、手伝っていただくことになりました。
よろしくお願い致します。

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