1999.3.31

…………….. インフルエンザもようやく一段落、いつのまにか房総はやわらかな春の日ざしにつつまれています。長い間ご無沙汰していましたが、「花の谷通信」もようやく再開です。医療ばかりでなく、政治、経済、教育現場で、様々な出来事が社会をかけ巡った一年でした。しかし、人が生きていく上で本当に大切にしなければならないものは多くはないはず、それを見つめてしっかりと大事に育てていくことに、努力を惜しまない年にしようという思いを新たにしています。それが、これから先の豊かな実りにつながることを希求して ……………..

-みんなで考えたい医療制度のこと-

ずいぶん前になりますが、皆さんにお答えいただいたアンケートの結果がようやくまとまりましたのでご報告します。ご協力いただいてからかなりの時間がたってしまったこと、お詫び致します。

1. 医療保険について

医療費が他の物価に比べて安いと考えている人が高いと思う人よりも多かったのですが、保険率の引き上げや診療時の自己負担金の増額には半数近くの人が反対。ただ、保険率の引き上げよりは自己負担金の増額の方に賛成する人が多く、また老人医療費の自己負担金が増えることについて賛成が反対を上回っていることをあわせて考えると、「やむを得ない現状下では、実際に医療を利用する者の負担が多くなるのは仕方がない」といったところなのでしょうか。

2. 医薬分業について

 8割近くの方が医薬分業を行なっている病院にかかったことがありましたが、かかりつけ薬局がある人は1割もいませんでした。医薬分業のメリットが感じられない、病院を出てからまた薬局に行くのはわずらわしいと考える人が多く、かかりつけ薬局を見つけられるのか疑問視する声もありました。

3. 公的介護保険について

 7割の人が公的介護保険が必要だと考え、半数近くの人が利用したいと思い、3割以上の人が介護保険料の負担に賛成していますが、自分の地域で利用できるサービスの中身についてよくわからないという人が6割もいました。要介護者の家族が介護教育や指導を受けやすいように援助してほしいという意見もありました。

 さて、’97年9月より社会保険本人の自己負担金が1割から2割へ、老人医療費も月定額1020円から一回の診療毎に500円に引き上げられ、大変ややこしい計算方法での薬剤の一部負担金をすべての患者さんが支払うことになりました。
受け手も、われわれ医療サービス提供者もようやくこのしくみに慣れてきたところですが、’99年4月より老人医療費が一回の診療毎に530円に変わります。また老人医療費の薬剤一部負担金は、患者の負担増によって「薬漬け医療」を改め医療費の増大に歯止めをかけるため、医療者も合意したうえで実施されたものですが、日本医師会の撤廃要求を政府が受け入れ、 ’99年7月より、応急的に国が変わって負担する予定とのことです。
そしてまた、医療制度の抜本的改革の一つとして、薬剤の参照価格制度を2000年から実施することを厚生省は目指しているのに対して、日本医師会は反対の署名運動を行っています。
薬剤の参照価格制度は、薬を効き目などが同じグループごとに仕分けして医療保険で支払う上限額を決め、越える部分は患者負担にするというものです。これまでの薬価制度とどうちがうかについて理解しやすいようにここで説明するのは容易ではなく、またの機会に譲りますが、厚生省構想は患者負担によって医療保険財政の支出抑制を進めようとしているのに対し、日本医師会は患者受診手控えによる収入の減少も理由で患者の負担増に反対しているということだけ述べておきます。
必要な医療を、本当に必要な人が安心して受けられることを第一の目標に、医療制度の改革をしてほしいものです。今回のアンケートからもわかるように、医療の受け手は、ただやみくもに負担増に反対はしていないのですから。

 今回、真摯なご意見を多くの皆様が余白に書いてくださいました。医療制度への皆さんの関心の高さに改めて気付かされました。一方、現在行われている医療のしくみも、利用者に正確に理解されていないことが多々あることも解りました。
 介護保険が導入される2000年以降また大きく変わろうとしている医療・福祉の社会制度が、私たちの生活に根ざして誰もが平等に利用できる生きた制度となりますよう、日頃の診療や活動の中でも情報を発信し、利用者の声を聞きとる努力をしていきたいと考えています。


花の谷クリニックの病棟がオープンします!

 ’99.5月よりオープン予定です。病室は10床あります。
 「ホスピス」,「緩和ケア病棟」 という言葉をお聞きになったことがありますか?
 「ホスピス」,「緩和ケア病棟」 は、現代の医学では残念ながら完全に治せない病気で余命の限られた方に、できるだけ症状を和らげて過ごしていただくための場所です。
 私たちの施設もそうした方の入院を目的としています。
 また、在宅で療養中の患者さんが一週間程度の短期入院が可能な「ショートステイ」のベットも用意しています。これは在宅療養中に症状が変化し症状コントロールが必要になった場合、また在宅で介護をしている方が休養を必要とする時や、外出などで患者さんをみることが一時的にできない場合などに、介護者に代わり患者さんをお預かりするものです。
 どうぞ施設の目的と役割をご理解いただき、ご利用くださいますようお願い致します。

入院の相談のある方は、0470-44-5303 へお電話ください。
金曜日午前に相談時間をお取りしますので、御予約ください。
※4月25日(日)、ご希望の方に施設見学の時間をもうける予定です。

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