老人ケアとリハの視点 -老化と廃用症候群

講師:井上都 (高知女子大教授)
2004.04.10

 まず、老人という言葉について。一般的に老人とは機能論的な立場からは、青壮年の遂行能力の基準を満たさない成人をいうと定義にある。
自分自身がどういう基準を持って「高齢者」と呼ぶかは、その人個々によって違う。「高齢者」と呼ぶ時、それぞれの価値観を持って相手をそう呼んでいることを常に意識している必要があり、それが専門性である。
又、高齢者のケアでは、多様性を考える必要がある。他の年齢層に比べ、同年齢の人の比較では、体力の差が最も著しい。1人の人でも体の部所によって、健康な部分とそうでない部分と多様性を持っている。それゆえ、全身状態をしっかり把握したうえで、その人をとりまく生活環境や生い立ちまでも理解し、ケアしていく必要がある。
 看護の基本的な姿勢 ・「その人らしさ」を認め尊重する。 ・「その人の力」を信じ支える。 ・その人と共に在ることを大切にする、である。
 健康の側面から考えるという点では、看護の基本的な考え方は、リハビリテーションと一緒である。まだ、健康で残っている部分を強めるよう働きかけるのである。例として分かり易く、褥瘡ケアが挙げられていた。褥瘡ケアも壊死した皮膚を除き、残っている皮膚を強め治していくのである。リハビリテーション=看護の基本的な考え方とは、人間が人間らしく生きる権利の回復、すなわち「普通」の事が「普通」になる事である。
「普通」といっても、ケアする側とされる側の「普通」の考え方の違いを見極め、又、障害を持つ前と後で、その人の「普通」がどう変わっていくか認識する必要がある。
 廃用症候群には、局所性と全身性がある。又、身体的、精神的、社会的に分類する事ができる。身体的廃用については、目にみえる事であるが、精神的廃用については、理解できても、なかなかアセスメントできず、「年だから仕方がない」になってしまう事が多い。こういった老人ケアには、自立に向けて医療チームを組み、援助していく必要がある。その中で、看護の役割とししては、「予測」し「予防」する事が重要である。
 今回の講習では「老人」がテーマであったが、看護の基本を再認識でき、自分の看護を見直すいい機会となった。患者にとっての「QOL (quarity of life )」を追求していくために、看護婦として要求される事は何かを問いながら仕事に取り組みたいと思った。

看護師:吉田由美

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