理学療法士に対するスーパーヴィジョン -指導者の養成

講師:吉尾雅春 (札幌医大保健医療学部理学療法学科教授)
2004.02.14

 今回は講義の内容もすばらしかったし、講師の先生自身も印象深かった。配布された吉尾先生の経歴がまず非凡なものだった。理学療法士として指導的立場でやっていたが、人間のからだの構造をもっと深く勉強したいと、解剖学教室で研究をし、医学博士まで取っている。現在は札幌医科大学の教授ということで、理学療法士の教育にあたっているとのことだが、研究熱心が、臨床に生かされているという点がすばらしいと思う。
 講義の内容はまず、臨床での指導者、リーダーはどうあるべきかということで、理学療法士の世界だけでなく、看護師、医師でも共通のことのように思う。指導者は、具体的に、『説得でなく納得』が得られるような指導をすべきと力説していた。どうしたらリハビリがうまく行くのか、どこまで回復できるのか、見通す能力がなければということを実例を挙げながら話していた。私のように大学で研修医を指導してきた立場から聞いていると、同感する点は多かったが、指導者の能力の高さが要求されるわけであり、指導者にとってはなかなかきびしい内容でもあった。
 さらに、病院内でのチーム医療のことにも触れていた。先生は病棟のことを知らない看護師長は不要だ、能力のないリハビリ医も困るとなかなかきびしい内容だったが、臨床の事情もよく知っているなと、うなずくことも多かった。チーム医療は『仲良しクラブ』ではいけない、むしろ、意見が対立する中で、患者にとってよりよい結論が得られていけばよいと言っていた。また、チームの中で、それぞれの専門性に基づいた意見をいうべきだとも言っていた。これは、私もホスピスで3年間勤務した中で感じたことのひとつでもある。患者、家族が求めているものは、看護師には看護の専門の立場から、医師には医師の専門の立場からきちんと患者を診て欲しいということだと思う。リハビリにおいては、理学療法士(PT)、作業療法士(OT),言語聴覚士(ST)がその専門の立場からチームに助言をし、患者に接していくべきだと、言っていた。ごく当たり前のことではあるが、大事な点と思った。緩和医療の分野では、専門性を離れて、一人の人間として患者家族に接するべき時も多いが、その中でも、医者(看護師)らしくないようで、さりげなく医師(看護師)としての専門的な仕事をしていくことが求められていると思う。
 今回の講義は、歯に衣着せぬ鋭い内容が多かったが、とても刺激を受け、有意義な時間だった。

医師:安惠美

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