リハビリテーションをめぐる医療政策と診療報酬の動向

講師:高木安雄 (九州大学大学院医療経営・管理学教授)
2004.01.10

 2000.4月の診療報酬改定により、特定入院料に「回復期リハビリテーション入院料」が設けられた。「回復期リハビリテーション病棟」は、入院患者が回復期リハを要する状態の患者と特定され、入院目的がADLの向上、寝たきりの防止、家庭復帰と明確であり、さらに入院日数も180日以内と限定された新しい形の病棟である。制度発足から3年8か月の2003.11月時点で全国に387病院453病棟20274床整備され、7年後には目標の人口10万人当り50床の必要数が充足される計算である。回復期リハビリテーション病棟入院料1日につきの1700点(17000円)が高いか安いか妥当かについて、講師は言明を避けたが、病院見学後に時間をとっていただいた質疑応答の場で、石川院長は高い診療報酬だから、すでに多くの病院が回復期リハビリテーション病棟を立ち上げているのではと話された。「緩和ケア病棟入院料」新設の経緯と似た状況を感じる。
 高木講師の話はそれなりに興味を持って聞くことができたが、常々感じていた介護保険制度についての、医療畑の人と福祉畑の人の見解の違いを今回も感じた。高木講師は介護保険制度を肯定的に捕らえており、介護保険制度の質が充分でないことが、医療の質をも低下させるという危惧をもっている私の認識とはズレが生じる。

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 講義から離れるが、河本のぞみ・石川誠著の「夢にかけた男たち」を大変おもしろく読んだので、一部抜粋させていただく。
・ リハ看護こそ、看護の原点。
・ 慢性疾患、老人、難病、障害、そして在宅ケアを支えていく時代に、医学の知識を持って患者の生活全般にかかわる看護の仕事には、物語をまと める力、だらだらとしまりのない物語ではなく、ガッチリ生にくいこんだ物語を語れる力が、要求されると思う。
・ 医学を基盤において介護をする看護職と、家政学を基盤において介護する介護職の視点の違いは、医療の場ではよく見えない。だが、患者が家に帰ったあとの支援の場面で家 事援助までを守備範囲とする介護職の力量が問われることは確かだ。
・ 私自身は、いずれ機能が低下していく時期も含めてとりあえず支持期と呼びたい。その人が願った生活、社会の一員としての市民生活を支持するための技術をリハビリテーションは持っている。
・ リハビリテーションは死に背を向けているわけではない。その技術は、死までの生を十全に送る手助けができるのではないか。そしてそれは、理学療法士(PT)固有、作業療法士(OT)固有、そして看護婦固有の、と言うことではなく、地域ケアのスタッフが共通して持つべき資質にPTの視点、OTの視点、看護婦の視点が加わったといった程度の専門性であり、あとはまるごとの自分で飛びこんでいくことだ。

 リハビリテーションと緩和ケアの驚くほどの類似点! 以上、リハビリテーションを緩和ケアと置き換えて読んでみてほしい。

医師:伊藤真美

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