新しい時代のリハ病院とリハチームのあり方

講師:石川誠 (初台リハビリテーション病院院長)
2003.12.20

 初台リハ病院には病室でベットに座って食事をとり、1日じゅう寝巻き姿で、横になって過ごすという病院の光景がないという。患者にとり朝晩の着替え、食事そのものが「自立を目指した訓練」であるという理念のもと、病棟を患者にとっての「生活の場」と捉え、訓練室における訓練だけではなく、家庭での生活をイメージした「病棟生活におけるリハビリテーションサービス」を重視しているそうである。
 今回の講師であった、初台リハ病院の石川院長は、このサービスを365日提供する為の初台リハ病院独特の工夫されたチーム医療体制等について説明された。
すなわち、病棟ごとに医師、看護師だけでなく、ケアワーカー、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)、ソーシャルワーカー(SW)、薬剤師、管理栄養士が配属され、徹底したチームアプローチを実践しているとのことだった。PT、OTも早出、遅出をして看護補助のために動き回り、このチームで患者のリハビリテーションプログラムも作成していた。この体制により、通常、最も人手が必要であるのに、最も手薄となってしまう7:00~8:30、17:30~21:30の時間帯のケアも充実し、ADL(activity of daily living )中心のリハ体制が強化されていた。
 高知市で試行錯誤を重ねながら「近森リハビリテーション病院」と「在宅総合ケアセンター近森」を立ち上げ、「急性期から回復期を経て、維持期の在宅生活にいたるまで、一貫してリハビリテーションの理念にのっとったケアを提供するシステム」をつくりあげた石川院長が、都内で、同様のシステムを担う回復期リハ病院として立ち上げたのが、初台リハ病院だそうである。
 石川院長は、リハビリテーションとは、単に機能訓練を提供することではなく、障害があっても、再びその人らしく、生き生きとした生活ができる権利も獲得する為の援助をすることであると定義された。又、今後の医療提供体制とし、在宅ケアを量的、質的拡大させることをポイントの1つとしてあげ、これからの在宅ケアサービス拠点には、リハ機能の充実が必須であること、医療系と福祉系サービスの併設と連携強化、訪問系と通所系サービスの併設と連携強化、小規模、多機能、地域密着、365日サービス(コンビニエンス化)が求められる点にも言及されていた。
 今回の講習を受け、リハビリテーションに対する認識が変わり、生涯にわたるリハビリテーションをサポートしていく為の在宅ケアサービスの重要性についても再認識した。

看護師:早川時代

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